カエムテリ墓(TT220)

Khaemteri

 ラメセス2世の時代のデイル・アル=メディーナの職人。「真理の場の下僕」。父はアメンナクト(TT218)。ネベンマアト(TT219)は兄弟。
 墓の入口は一つで,中に3つの埋葬室(TT218.TT219.TT220) を備えているユニークな墓です。入口の階段を降りると,アメンナクトの墓室があり,その奥壁の左下部から階段の先に,装飾の施されていない3つの墓共通の前室があります。ここから各墓の埋葬室につながっています。カエムテリの墓室は右です。
 残念ながら中に入ることはできませんが,入口から見学することはできます。壁の装飾はほとんど失われていますが,左奥の壁にはジェド柱の姿のオシリスやイシス,上部半円にはアヌビスを見ることができます。反対側右奥にはミイラとシャブティボックス,壺や鏡などが描かれ,上部半円にはアヌビスが残っています。入口向かいの壁は損傷が激しいですが,白い装束を着た人物たちの足と,家具の脚の部分が残っています。この墓も,黄色,赤,黒の顔料のみを使用して装飾されています。

左壁
ジェド柱の姿のオシリス,イシス,上部半円にはアヌビス
奥壁
白い装束を着た人物たちの足と,家具の脚
右壁
寝台に横たわるミイラ。寝台の下には,シャブティボックス,壺,鏡。